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「バルタイでコンプレッションは変化するけど圧縮比は変化しない」




「バルブの密着が悪くても圧縮比は変化しない」し、

「クランク回転速度が変わればコンプレッションは変化する」し、
圧縮比とコンプレッションについては認識がまだまだ低過ぎる感じがしています。特にエンジンチューンをこれから進めていくという人にとっては超重要なんです。





「圧縮比は計算しないとな!!コンプレッションが下がったらオーバーホールだぜ!!」


だいたいこの辺りはもうほとんどの人が解っていると思いますが、これにバルタイを組み込んで同時に考えていくとなると・・・。


特にエンジンチューンにおける圧縮比とコンプレッションはこうなるのです。




「作用角でかいハイカム組むなら圧縮は上げないとな!」


「コンプレッション高過ぎた?バルタイ大丈夫?」


「圧縮比いくつでコンプレッションなんぼ?」




まず圧縮比とコンプレッションは近いけど全くの別物です(^^)
これは大前提です。数値が近いからと言ってごちゃ混ぜになってはダメですよ(笑)


圧縮を測るコンプレッションゲージは3,000円くらい。

送料込みです。
そんなに高い道具じゃあないですよね😉


エンジン組む前の計算で導き出すのが圧縮比。
組み込んで測定するのがコンプレッションです。

圧縮比はエンジンがピストンで圧縮出来る目安。
コンプレッションは実際の圧縮圧力なのでこのふたつは全く違う意味合いなのです。



たまに

「圧縮高くて(コンプレッション高くて)セルが廻らない~」

って言うやりとりを見ますが、たいていはクランキング時の点火時期を遅らせるとセルは廻るようになります。エンジンチューンあるあるw



この場合、圧縮比を下げた訳でも無いのに回らなかったセルが廻るようになります。「圧縮高くて(コンプレッション高くて)セルが廻らない~」という言い分の矛盾点が解りますか?
つまりセルが廻りにくいのは圧縮比カンケー無いです。


圧縮比を下げた訳でも無いのに、クランキング時のコンプレッション(爆発燃焼圧力)が下がったからスンナリとセルは廻るようになったのです。
圧縮比を変更する場合、最低シリンダーヘッドは外す必要がありますよ。


そういう場合、クランキング時の点火時期を遅らせるのです。(点火時期が単に早過ぎたのが原因です)


つまり圧縮比もバルタイも弄る必要ないし、圧縮比高過ぎて~は関係無いです(^^)
サッサと点火時期を確認しましょう!

いいですか?


圧縮比は計算値、「圧縮する事が出来るハズの圧縮比
」なのです。
実際の圧力は圧縮比の計算値ではありません。

そもそも、現在のエンジンはピストンが一番下がった位置から圧縮が始まってる訳では無いんですよ。


けどこれを利用するとワンセットのハズのピストンやカムで色んなバリエーションのエンジンを組み上げる事が出来ます。



うちのw124ベンツワゴンのコンプレッションテスト【103エンジン】の場合



YouTubeチャンネルもやってますw




もう一度言います。


ワンセットのピストンとカムがあれば、もうそれだけで色んなバリエーションのエンジンに仕上げる事が出来ます。




つまりここが圧縮比とコンプレッションの全く異なる性質、本質でありエンジンチューンなのです。
エンジンチューンのビギナーではこの辺を誤解しがちです。要注意。


同じピストンを使って、同じヘッドとクランクを使えばヘッドガスケット変更する以外で圧縮比が変化する要素は無いのです。コレはエンジンを組む前から解っています。


ではバリエーションとはナニモノなのか?これはエンジンのコンプレッションによる性格の変更です。

優しいコンプレッションは優しいエンジンになって伸びやかに回転が上がりますが、厳しく高めのコンプレッションをで組めばエンジンはノッキングまみれで高回転での点火時期を早める事が出来ず、高回転廻せないエンジンの性格になってしまいますがトルクフルなエンジン特性になりやすい。




取り合えずエンジン組んでみるというのもコンプレッションを確かめる為の中間工程だったりしますね。
コンプレッションという数値は、実際にエンジンを組んでクランクを回して、コンプレッションゲージで測定するまで分からないからです。

その数値は圧縮比も含め、吸気バルブが閉じるタイミングが大きく影響します。クランクの回転速度でも変化します。

サニトラA型エンジン等、NAエンジンチューンの場合は特に、ピストンが下がりきった位置からクランクが更に40度も50度も回らないと吸気バルブが閉じないんですよ(*´-`)

エンジンの圧縮工程はピストンが下がりきった下死点から圧縮上死点までの間(クランクが回る回転角度は180度)ですが、その圧縮工程の内1/3くらい吸気バルブが開いたままエンジンは稼働しているんです。


例えば吸気バルブが完全に閉じるのがピストン下死点位置からクランクが60度回った位置だとすると・・・、


ピストンが混合気を圧縮出来るのは圧縮工程の残り120度しかないですよね。この事は圧縮比の計算には考慮されていません。
圧縮比は単純に、ピストンが下がりきった位置から上がりきった位置までで最大限有効に圧縮しうる目安を言っているのです。


だから圧縮比はそのままでも、バルタイを弄るだけでコンプレッションの数値は上下します。ハイコンプと言うのはあくまでこのコンプレッション数値を上げるという意味なんですよ。


つまり、圧縮比を上げた場合でも「ピストンリングが正しく組めていない」場合やシリンダーが傷だらけのエンジンではコンプレッションが上がりません。

計算値ではいかにもハイコンプそうな仕様でも、バルタイがおかしいエンジンや、バルブが閉じていないエンジンではコンプレッションが上がりませんw
※バルブクリアランスが少な過ぎるエンジンとかもコンプレッションが正しく上がりませんw


今、大活躍中のマツダはこの事を積極的に利用してエンジンの性能を従来「無理だー!」と言われていたレベルにまでグイッと引き上げる事に成功した訳です。
これもまた立派なエンジンチューンと言えますね(*´-`)

※マツダ スカイアクティブを参照下さいませ。



圧縮比を上げる、下げるという言葉の意味は現代において段々とその効力が弱まってきているとも言えます。

現代の「可変バルブタイミング」はそういう使い方も可能な賢いシステムなんですよ。

極端な話をすると、
「圧縮比はそのままでも可変バルタイでコンプレッションは自由自在w」くらいのレベル。


圧縮比という概念は、大昔のガソリンエンジンが産まれたばかりの頃にできた概念のまま、笑っちゃうくらい時代錯誤な概念なのです。
※オットーサイクルを参照下さい。






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